設計者のための設計手帳
製品設計者のための基礎技術情報サイト
回転系イナーシャの計算式
ここでは、(水平)回転の運動によって生じるイナーシャIr(=慣性モーメント)について説明します。
回転の運動によって発生する回転系イナーシャIrは、下記の図のように、回転運動をする物体(以下ワークと記載)の質量
(=M(g))と半径(=r(cm))の2点の要素によって決まり、式は、
J = M x K^2 (g・cm2) 但し、K2 = r^2/2
(Kの2乗) (rの2乗/2)
となります。(あれ?Jって何?)
Jとは、イナーシャIと同様にイナーシャの計算式で良く用いられる
表記で、同じイナーシャJ、という意味です。
どういうこと?かというと、単位系が異なる表記の違い、であり、
主にイナーシャの計算では、このJをよく使用するこになります。
もう少し詳しく説明すると、イナーシャには、主に下記のような3つ
の表記があり、それぞれの関係式が存在します。
どれも同じ意味なのですが単位系が異なると数値が異なるので注意が必要です。
簡単に言うと1(kgf)と9.8(N)は同じ意味ですが、単位系が異なると数値が異なります。イナーシャも同様です。
尚、一般的に多く使用されているイナーシャの表記は、下記の①Jが多いです。
イナーシャの表記の違いに注意しましょう。
① J (ジェイ) (g・cm2)
② GD2 (ジーディースケア) (gf・cm2)
③ I (アイ) (gf・cm・s2)
また、それぞれの関係式は、下記のようになります。
① J = GD^2/4 (g・cm2)
② GD^2 = 4J (gf・cm2)
③ I = J/g = (GD^2/4)/g (gf・cm・s2)
※補足:gは重力加速度 g=980(cm/s2)
【まとめ】
回転系イナーシャの計算式
J = M x K^2 (g・cm2) 但し、K^2 = r^2/2
Ir = J/g = (GD^2/4)/g (gf・cm・s2) 但し、gは重力加速度 g=980(cm/s2)
※補足:Mは回転体の質量(g)
K^2(=Kの2乗)は、r^2/2(=rの2乗/2)
rは、回転体の半径(cm)
Irは、Iです。直動系イナーシャIcと区別するため便宜上Irと表記しています。
即ち、(水平)回転の運動によって生じるイナーシャは回転体の質量(M)と回転体の半径(r)の2乗の半分との積となります。
ここまで説明したイナーシャの計算式は、図のように重心が回転の中心軸に位置しています。
また、形状が円形になっています。
重心が回転の中心軸からズレている場合や、形状が長方形や正方形などの場合は、上述にて説明をしたK2の式が異なりますので、注意が必要です。
異なるK2の代表例は、こちらで紹介しておきます。





